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ITパスポートが実施される以前は、情報処理の入門資格といえば初級シスアドこと「初級システムアドミニストレータ試験」でした。
制度改正で廃止になってしまった理由を知っていますか?

初級シスアドはなぜ消えた?

理由1 ユーザ側資格という位置付け

現行の試験制度では、試験にユーザ側・開発側の境がありません。ITパスポートがレベル1、基本情報がレベル2、というように両者が共通してステップアップしていける体系になっています。

しかし平成20年以前の旧試験制度では、「初級シスアドと上級シスアドはユーザ側の資格」、「基本情報やソフトウェア開発技術者は開発側」というように分類されていました。初級シスアドと上級シスアドの間にはかなりレベルの差があったため、初級シスアド合格者がすぐに上級シスアドを目指すことはできませんでした。
それに旧試験制度の基本情報技術者は一つ以上のプログラム言語の習得が合格への必須条件でしたので、ユーザ側の人間としては気軽にステップアップするというような資格ではなかったのです。

(上級シスアドも平成21年に廃止されましたが、システムアナリストと併合されITストラテジストという試験になりました。このことからも上級シスアドがかなり格上の試験であったことがわかります)

理由2 基本情報技術者の範囲と酷似していた

実際に2つの試験を受験したことがある人は感じたと思いますが、初級シスアドの試験範囲は、基本情報技術者の範囲にほぼ内包されていました。
ユーザ側の資格という位置付けでありながら、その内容は基本情報の下位に位置していたため、基本情報を目指す人達が踏み台として受験していたということも事実です。(目標は秋の基本情報合格だが、力試しで春に初級シスアドを受けたりすることが情報系の専門学校などで行われていました。)

つまり主催者側の当初の目的「ユーザ側に特化した試験」と現実の状況の隔たりから、初級シスアドという資格の存在意義が薄くなっていったのではないでしょうか?

このようないくつかの理由から試験制度改正の時に、初級シスアドの範囲はITパスポートと基本情報に吸収されて「発展的に解消」という形になったという訳です。

初級シスアドミニストレータという名称

「システムアドミニストレータ」はシステム管理者という意味ですが、実際の受験者の対象像は「ユーザ側の代表としてEUC(End User Computing)を推進する者」ということでありシステムの管理者ではありません。またこのレベル程度の試験内容でシステムの管理者と呼ばせるのには無理があり、試験を知らない人の誤解を生む可能性があったというのものも一因ではないでしょうか?

初級シスアドが消えた理由は、

  • 試験内容が基本情報と似ていた
  • さらなるステップアップ資格がない
  • 初級のシステム管理者という曖昧な試験名称
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