平成30年春期試験問題 問9

A氏は,インターネット掲示板に投稿された情報が自身のプライバシーを侵害したと判断したので,情報流通プラットフォーム対処法に基づき,その掲示板を運営するX社に対して,投稿者であるB氏の発信者情報の開示を請求した。このとき,X社が情報流通プラットフォーム対処法に基づいて行う対応として,適切なものはどれか。ここで,X社はA氏,B氏双方と連絡が取れるものとする。

  • A氏,B氏を交えた話合いの場を設けた上で開示しなければならない。
  • A氏との間で秘密保持契約を締結して開示しなければならない。
  • 開示するかどうか,B氏に意見を聴かなければならない。
  • 無条件で直ちにA氏に開示しなければならない。
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分野 :ストラテジ系
中分類:法務
小分類:その他の法律・ガイドライン
解説
情報流通プラットフォーム対処法(旧称:プロバイダ責任制限法)は、Webサイト・SNS・電子掲示板など不特定多数の者に閲覧される電気通信を媒介する事業者に対し、情報流通で権利を侵害された者への対応を義務付ける法律です。対象となる事業者はプロバイダ、ホスティング事業者、電子掲示板の運営者、大規模プラットフォーム事業者などです。

Webサイト等への投稿等により自身の権利が侵害されたと判断した者は、プロバイダや電子掲示板の運営者、サーバ管理者に発信者情報(氏名、住所、メールアドレス等)の開示を請求することができます。

開示請求を受けたプロバイダなどのサービス提供者は、情報の開示に同意するかどうかについて、発信者の意見を聴く必要があります。これは、発信者のプライバシーや表現の自由といった権利や利益が不当に損なわれないよう、情報流通プラットフォーム対処法で定められている手続きです。発信者の同意がある場合は、請求者に情報を開示しますが、同意が得られなかったり、反対の意思が示された場合には、開示を拒否することが可能です。開示を拒否された被害者は、裁判所に開示を求める訴えを起こすこともできます。

設問のケースでは、開示請求者がA氏、発信者がB氏ですので、開示請求を受けたX社は情報の開示についてB氏の意見を聴く義務があります。したがって適切な対応は「ウ」です。

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