ITパスポート試験 用語辞典

マイナンバーまいなんばー
国民の一人一人に固有の番号(マイナンバー)を付与することで、社会保障、税、災害対策の3分野で効率的に情報を管理し、複数の機関が保有する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用される制度。行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平・公正な社会を実現する社会基盤となることを目的としている。
別名:
個人番号
分野:
ストラテジ系 » ビジネスインダストリ » ビジネスシステム
重要度:

(Wikipedia 個人番号より)

個人番号(こじんばんごう)とは、日本において、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(以下「マイナンバー法」と略す)の規定に基づいて、個人の識別番号として各市町村からその住民に通知される予定の番号である。2015年10月に通知開始。2016年1月以降、社会保障、税、災害対策のために使われる予定。愛称はマイナンバー。数字12桁から成る。この制度の影響によるプライバシーや人権の侵害を危惧する声もある。

主旨

「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年5月31日法律第27号)」いわゆるマイナンバー制度の目的について、本則第1条は、この法律は、行政機関、地方公共団体その他の行政事務を処理する者が、個人番号及び法人番号の有する特定の個人及び法人その他の団体を識別する機能を活用し、並びに当該機能によって異なる分野に属する情報を照合してこれらが同一の者に係るものであるかどうかを確認することができるものとして整備された情報システムを運用して、効率的な情報の管理及び利用並びに他の行政事務を処理する者との間における迅速な情報の授受を行うことができるようにするとともに、これにより、行政運営の効率化及び行政分野におけるより公正な給付と負担の確保を図り、かつ、これらの者に対し申請、届出その他の手続を行い、又はこれらの者から便益の提供を受ける国民が、手続の簡素化による負担の軽減、本人確認の簡易な手段その他の利便性の向上を得られるようにするために必要な事項を定めるほか、個人番号その他の特定個人情報の取扱いが安全かつ適正に行われるよう行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第58号)、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第59号)及び個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)の特例を定めることを目的とする、と規定している。

対象者

個人番号の指定を受ける対象者は、日本の市町村に住民票がある住民全員である。これには、日本国籍の住民はもちろんとして、中長期在留者、特別永住者(主に在日韓国・朝鮮人)などの在日外国人が含まれる。

個人番号の指定を受けるために、本人による手続(申請など)は不要である。また、住民が個人番号の指定を拒否する手続はマイナンバー法に定められていない。2015年10月5日以降は、市町村に出生届が受理されて住民票が市町村で作成されたときに、その者に割り当てられる個人番号が決まり、生涯原則として変更はない。

2015年10月5日、個人番号の指定の対象外である。

なお、法人に対しては、個人番号(マイナンバー)ではなく法人番号(法人版マイナンバー)が指定される。

各国言語での呼称

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番号の指定

数字の意味

個人番号は数字12桁である。先頭の11桁は、住民票に記録されている住民票コードから生成される番号である。末尾の1桁は、検査用数字であり。

各人の個人番号は、ほかの誰の個人番号とも異なる。結婚、転居などで個人番号が変わることはなく、同じ番号を一生使うのが原則である。個人番号が漏洩して不正使用のおそれがある場合に限り、個人番号の変更が認められる。

個人番号と個人の属性(氏名、住所、性別、生年月日など)との間に関係はない。よって、個人番号の解析により持ち主の属性が明らかになることはない。逆に、他人の住所、性別、生年月日などから個人番号を推測することはできない。

また、個人番号からその元になった住民票コードを復元することはできない。

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指定方法

個人番号の指定を受けるために、本人による手続(申請など)は不要である。ただし、指定された個人番号は、住民票の住所に書留郵便で通知されることになっているので、住民票の住所と実際の住所が異なると、通知を受け取れない可能性がある。このため、日本政府は、個人番号の指定・通知が始まるまでに実際の住所を住民票の住所として届け出るように呼びかけている。

同じ個人番号を複数の人に対して指定することがあってはならない。そのため、各人に対して指定する番号の生成は、日本全国の都道府県・市町村が共同で運営する地方公共団体情報システム機構が一手に引き受けることになっている。

具体的には、市町村の端末から住民の住民票コードを機構のシステムに送信すると、機構のシステムがその住民票コードに対応する番号を自動的に決定し、市町村の端末に返信する。市町村は、機構のシステムから受信した番号を住民の個人番号として指定し、その住民に通知する。

よって、住民本人や市町村の職員がその住民の個人番号とする番号を選ぶことはできない。個人番号の指定を受けた住民は、その個人番号が漏洩して不正使用のおそれがあると考える理由を明らかにして、個人番号の変更を市町村長に請求することができ、市町村長がその理由を受け入れた場合に限り、個人番号が変更される。この場合も、新しい個人番号は地方公共団体情報システム機構のシステムが自動的に決定し、住民本人や市町村の担当者に選択の余地はない。

番号の調べ方

自分・同居家族の番号

市町村が住民に個人番号を指定したときは、その番号が「通知カード」で本人に通知される。このカードは、社会保障、税などの手続の際に必要になるので、各自保管しておく必要がある。

自分の個人番号と同居家族の個人番号は、自分または家族が保管している通知カードで調べるほかに、市町村の窓口で取得する住民票の写しで調べることもできる。ただし、住民票の写しを請求する際に、個人番号入りの写しを請求しないと、個人番号の入っていない写しが交付されることがある。

他人の番号

社会保障、税などの手続のために他人の個人番号が必要な場合は、本人に、または、本人以外に、個人番号の提供を求めることができる。これ以外の場合に、他人の個人番号を収集してはならない(番号の持ち主本人の同意があっても不可)。もっとも、同居家族の個人番号を収集することは差し支えない。

番号の利用

利用方法

個人番号の指定・通知は2015年10月5日に開始される。

個人番号の利用範囲は、法律で社会保障、税、災害対策の3分野のうちの特定の範囲に限定されている。ただし、日本政府は「個人番号は、将来的には幅広い行政分野で利活用することも念頭に置きつつ、まずは、社会保障制度、税制、災害対策に関する分野において利用することとされている」と説明していて、将来的には個人番号の利用範囲が拡張される可能性もある。

決められた場合以外で個人番号を他人に教えたり、他人に個人番号の開示を求めたり、他人の個人番号を収集したりすることは禁じられている。

他人の個人番号を使って他人になりすますことを防ぐために、個人番号の持ち主本人から番号を教えてもらう際には、市町村が発行した個人番号の「通知カード」と身分証明書の両方を確認するなどの本人確認が必要である。

効果

日本政府は、個人番号(社会保障・税番号制度)を導入すると、
  • 「より正確な所得把握が可能となり、社会保障や税の給付と負担の公平化が図られる」
  • 「社会保障や税に係る各種行政事務の効率化が図られる」
  • 「ITを活用することにより添付書類が不要となる等、国民の利便性が向上する」

などの効果があると説明している。効果の具体例は次のようになる。

公営住宅への入居申込み(行政事務の効率化・利便性の向上の例)
2014年12月現在、公営住宅(例えば県営住宅)への入居を申し込むためには、その事業主体(例えば県)に提出する申込書に住民票の写し、所得証明書などの書類を添付することが必要である。県が申込者の入居資格の有無を審査するためには、申込者の世帯構成、収入などの確認が必要だからである。
個人番号の導入後(かつ情報提供ネットワークシステムの稼働後)は、市町村の住民基本台帳には、住民の世帯構成の情報が個人番号と対応付けて記録されることになるし、市町村の税務システムには、住民の収入が個人番号と対応付けて記録されることになる。そこで、県の担当者は、入居申込者から個人番号の開示を受けた上で、その個人番号に対応する情報を県の端末から市町村の情報システムに対して照会する。市町村のシステムは、照会に応答して、要求された情報を県の端末に送信する。このようにして、県は、入居資格の審査に必要な情報を効率的に入手できることになる。また、入居申込者は、申込書に添付する書類の一部が省略できるので、市町村の窓口で住民票の写し、所得証明書などを取得する手間が省けることになる。
所得税の扶養控除(正確な所得把握の例)
例えば、共働きの夫婦が高校生(16歳以上)の子と生計を共にしている場合、子1人につき、夫と妻のいずれか一方の所得に1人分の扶養控除が適用できる。同じ子(扶養親族)についての扶養控除を夫と妻の両方が適用することはできない。
2014年12月現在の制度では、夫と妻はそれぞれの勤め先に別々に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出することになっている。それぞれの勤め先では、申告書に基づいて扶養控除を適用し、所得税の源泉徴収(給料からの天引き)・年末調整を実施し、その結果を源泉徴収票で税務署に報告する。
ところで、現在の制度では、扶養控除の適用が申告されている子(控除対象扶養親族)の名前が記入された「給与所得者の扶養控除等申告書」は、勤め先で保管され、税務署には提出されない。勤め先から税務署に提出される源泉徴収票には、扶養控除が申告されている扶養親族(控除対象扶養親族)の人数のみが記載され、名前は記載されない。その結果、共働きの夫婦がそれぞれの「給与所得者の扶養控除等申告書」に同じ子の名前を書いて、同じ子について、夫の所得と妻の所得の両方に扶養控除を適用したとしても、現在の制度では、税務署がこれを発見することが難しい。
個人番号の導入後は、「給与所得者の扶養控除等申告書」には、扶養控除の適用が申告されている子(控除対象扶養親族)の個人番号を記入する欄が設けられる。源泉徴収票にも、その個人番号を記入する欄が設けられる。夫婦それぞれの勤め先(給与の支払者)は、その子(控除対象扶養親族)の個人番号を源泉徴収票(の電子データ)で税務署に報告することになる。その結果、同じ子について夫の所得と妻の所得の両方に扶養控除を適用したような、扶養控除の適用誤りは、個人番号の利用によって以前より容易に発見できるようになる。

通知カードと個人番号カード

通知カード

市町村から住民への個人番号の通知は、通知カードの送付によって行われる。新生児から老人まで、後述の「個人番号カード」保有者を除いて、1人1枚ずつこのカードを保有することになる。

通知カードは運転免許証、キャッシュカードなどと同じ大きさ(ISO/IEC 7810 ID-1規格)で、オモテ面に個人番号、氏名、住所、性別、生年月日などが印刷される。通知カードには持ち主の顔写真や住民票コードは掲載されないし、ICチップは入らない。後述の「個人番号カード」とは異なり、通知カードにあらかじめ決められた有効期限はない。また、個人番号カードとは異なり、身分証明書としての利用は想定されていない。

結婚、転居などで氏名、住所などが変わったときは、市町村に通知カードを提出して、書き換えをしてもらわなければならない。通知カードの裏面は追記欄となっていて、氏名、住所などに変更があったことが書き込まれる。追記欄に書き込めなくなったら新しい通知カードに交換される。

個人番号カード

個人番号カード
個人番号カードは、希望する住民に対して、「通知カード」と引き換えに作成されるカードである。顔写真入りの住民基本台帳カードの後継で、身分証明書として使える。

個人番号カードは通知カードと同じ大きさである(ISO/IEC 7810 ID-1規格)。個人番号カードのオモテ面には、氏名、住所、生年月日、性別、カードの有効期限などが印刷され、本人の顔写真が掲載される。裏面には、個人番号、氏名、生年月日が印刷されるほか、追記欄が設けられる。

個人番号カードはICカードであり、カードに埋め込まれたICチップには、券面記載事項のほか、住民票コードが記録される。住民基本台帳カードと同様、ICチップに公的個人認証サービスの鍵ペア・公開鍵証明書が記録できる。ICチップの記録の読み出しのために、4桁の暗証番号が設定される。

個人番号カードには有効期限がある。20歳以上の日本人の場合、発行後10回目の誕生日までが有効期間である。

通知カードと個人番号カードの比較

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個人番号と法人番号の比較

マイナンバー法には、法人、団体などには、個人番号の代わりに法人番号が指定されることが規定されている。個人番号と法人番号の違いは表のとおりである。

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住基ネットと個人番号の関係

個人番号は住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)で付番された住民票コードから生成される。住民票コードそのものを個人番号としない理由について、内閣官房は「『住民票コード』はもともと今回のような利用を想定しておらず、運用の大幅な改変が必要になることや、パブリックコメントの多数意見が『新しい番号の利用』だったこと、等」と説明している。

住基ネットでは、従来の4情報(氏名、住所、性別、生年月日)と住民票コードに加えて個人番号を管理するよう改修が行われた。地方公共団体において、個人番号制度の運用のためには住基ネットの利用が前提になる。住基ネット稼働時から非接続だった福島県矢祭町は、個人番号制度への対応を理由に、2015年3月30日に住基ネットに接続した。

個人番号カード交付が始まると、従来の住基カードの新規発行は行われなくなる。ただし、それ以前に交付を受けた住基カードは有効期間内はそのまま利用できる。

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